保育園給食の調理員不足を解消するには?採用・定着・欠勤対応と業務改善の方法

2026年08月06日

はじめに

保育園の給食は、子どもたちの成長や健康を支えるだけでなく、食材に触れ、食べる楽しさを知る食育の機会でもあります。しかし、調理員を募集しても応募が集まらない、採用しても定着しない、急な欠勤を補う人材がいないといった問題を抱える保育園は少なくありません。

調理員が不足すると、限られた人数で下処理、調理、盛り付け、洗浄、清掃、衛生記録、アレルギー対応まで行う必要があり、現場の負担が急速に高まります。単に忙しくなるだけでなく、給食の提供時間、安全管理、献立の幅、食育活動にも影響が及ぶ可能性があります。

ただし、人手不足への対策は求人を増やすことだけではありません。厨房の業務を分解し、調理員でなければできない仕事に集中できる仕組みを整えることも重要です。

本記事では、保育園給食で調理員不足が起きる背景、必要人数を見極める考え方、欠勤時の対応、人材の採用・定着、外部サービスを活用した業務負担の軽減まで詳しく解説します。

給食現場全体で人手不足が起きる構造については「保育園給食の人手不足問題とは」もあわせてご覧ください。

目次

    1. 保育園給食で調理員が不足する背景

    保育園給食の調理員不足は、採用活動だけに原因があるとは限りません。給食調理を取り巻く雇用環境に加え、保育園特有の業務内容と少人数体制が重なり、人材を確保しにくい状況が生まれます。

    1-1. 給食調理に携わる人材の採用競争が激しい

    給食調理員の勤務先は、保育園のほか、学校、病院、介護施設、社員食堂など多岐にわたります。一般の飲食店も含めれば、調理経験者を求める職場はさらに増えます。

    厚生労働省の職業情報提供サイト「job tagの給食調理員に関する職業情報」では、給食調理員の全国の有効求人倍率は令和6年度で3.4倍とされています。

    保育園給食だけの数値ではありませんが、求人に対して求職者が少なく、採用競争が起きていることを示す一つの目安です。欠員が出てから募集を始めるのではなく、採用期間が長引くことを想定した人員計画が必要になります。

    1-2. 勤務条件と実際の仕事に差が生じやすい

    保育園給食は、昼食の提供時間から逆算し、朝から決められた時間内に調理を終えなければなりません。立ち仕事が中心で、重い鍋や食材を扱い、高温多湿になりやすい厨房で働く身体的な負担もあります。土曜保育に対応する園では、土曜日の勤務も必要です。

    求人票に「給食調理」とだけ記載し、食数、担当業務、休憩、残業、複数人で作業する時間帯が分からないと、入職後のギャップによって早期退職につながりかねません。

    応募を増やすだけでなく、実際の働き方や一日の業務内容を具体的に伝えることが重要です。

    1-3. 乳幼児給食の専門性と少人数体制が教育を難しくする

    保育園の給食では、子どもの年齢や発達に合わせた大きさ、硬さ、味付けへの理解が求められます。離乳食の形態や食物アレルギーへの対応では、原因食品の除去、器具の使い分け、専用食の識別、配膳時の照合なども必要です。

    こども家庭庁の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)の概要」でも、施設長、保育士、調理担当者、栄養士などが役割を分担し、組織的に対応することの重要性が示されています。

    未経験者を採用しても、単独で勤務できるまでには教育が必要です。しかし、少人数の厨房では教育時間を確保しにくく、経験者の負担が減らないまま新人が定着しにくくなる悪循環も起こります。

    保育園給食の調理員不足は、調理人材をめぐる採用競争、勤務条件とのミスマッチ、乳幼児給食に必要な専門性、少人数体制による教育の難しさが重なって起こります。採用数を増やすだけでなく、新しい職員が仕事を覚えやすく、欠勤時にも業務を継続できる仕組みを整える必要があります。

    2. 保育園給食で調理員が不足していると判断する目安

    必要な調理員数は、園児数だけでは決まりません。同じ食数でも、離乳食の段階、アレルギー対応食の数、手作りおやつの頻度、厨房設備、食材の納品状態によって作業量が変わります。

    2-1. 配置基準を満たすことと十分な人数がいることは異なる

    国の「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」では、保育所に調理員を置くことが定められており、調理業務の全部を委託する場合には置かないことができるとされています。

    ただし、園児何人に対して調理員何人という全国一律の人数を示すものではありません。施設の種別や自治体の条例・指導も関係するため、具体的な配置要件は管轄自治体への確認が必要です。

    法令上の要件を満たしていても、一人が休むと通常献立を提供できない、責任者しかアレルギー対応を判断できない状態であれば、運営上は不足していると考える必要があります。

    2-2. 休憩・残業・応援要請の回数から把握する

    調理員不足は、残業時間だけでは正確に把握できません。午前中の調理を優先するため休憩を短くしている、衛生記録や発注を勤務時間外に行っている、栄養士が調理へ入り続けている場合は、表面上の残業が少なくても人員に余裕がありません。

    予定どおり休憩を取得できた日数、時間外業務、系列園への応援要請、献立変更、欠勤時の調整時間を1か月単位で記録します。

    複数週にわたって同じ状態が続く場合は、採用、シフト、献立、発注方法のいずれかを見直す段階です。

    2-3. 安全確認やほかの職種にしわ寄せが出ていないかを見る

    手洗い、器具の使い分け、加熱温度、保存食、アレルギー対応食の照合は、時間がなくても省略できません。人が少ない日ほど、誰が作業し、誰が確認したかを明確にします。

    特に、アレルギー対応食を作った人が、識別から受け渡しまで一人で完結している場合は、別の職員による確認方法を整える必要があります。

    また、欠員のたびに保育士を調理補助へ回すと、保育側の配置に余裕がなくなります。栄養士が厨房へ入り続ければ、献立作成や保護者対応が滞ります。

    一時的な応援ではなく、ほかの職種が恒常的に不足分を埋めているなら、調理員が足りているとはいえません。

    調理員不足は、在籍人数や給食提供の可否だけでは判断できません。休憩、残業、応援要請、安全確認、他職種の補助時間まで確認し、通常勤務の範囲で給食の安全と品質を守れるかを基準にします。法令上の配置と、現場を安定して運営できる人数は分けて考えましょう。

    3. 人手不足対策の前に給食業務を見える化する

    調理員を採用する前に現在の仕事を工程ごとに整理すると、本当に不足している人数と時間が見えやすくなります。業務量を把握しないまま求人を出すと、採用後も忙しさが変わらないことがあります。

    3-1. 一日の作業と所要時間を工程別に記録する

    出勤から退勤までの作業を、検品、下処理、調理、アレルギー対応、盛り付け、配膳、洗浄、清掃、記録などに分けます。

    通常日だけでなく、行事食の日、納品が多い日、欠勤者がいる日も確認すると、負担が集中する場面を把握できます。

    例えば、調理そのものではなく、複数業者への発注や納品確認に時間がかかっている、食材の保管場所が分散して移動が多いといった改善点が見つかることがあります。

    1週間から2週間程度記録し、予定時間と実際の時間に差がある業務から見直します。

    3-2. 専門業務・補助業務・属人化した業務を分ける

    加熱状態の判断、アレルギー対応食の調理と確認、離乳食の形態調整は、知識と経験のある人材を中心に配置する必要があります。

    一方、食材の受け取り、所定場所への収納、配膳準備、食器の片付けなどは、手順を明確にすれば補助スタッフが担当できる場合があります。

    発注先、代替品の選び方、厨房機器の操作などを一人だけが把握している場合は、写真付きの手順書や担当交代によって属人化を減らします。

    専門業務と補助業務を整理すれば、短時間勤務者を採用しやすくなり、経験者が安全と品質に関わる仕事へ集中できます。

    人手不足の改善は、人数を数えるだけでは始まりません。作業時間、専門性、属人化の状況を整理すると、採用が必要な部分と、補助配置・手順変更・外部化で軽減できる部分を区別できます。限られた人材を安全と品質に直結する業務へ配置することが重要です。

    4. 調理員不足に対してすぐに取り組める対策

    採用には時間がかかるため、欠員が発生している現場では、現在の人数で安全に給食を続ける仕組みも必要です。

    短期的な対応では、作業を無理に詰め込まず、優先順位と代替手順を明確にします。

    4-1. 献立と作業工程を一体で見直す

    献立を考える際は、栄養価や子どもの好みだけでなく、その日に必要な工程数も確認します。

    下処理の多い食材を複数の料理で重ねない、同じ加熱機器を使う工程が集中しないようにする、行事食の前後は作業しやすい献立にするといった調整が考えられます。

    負担軽減を理由に献立を単調にするのではなく、一定期間で栄養バランスと食材の多様性を確保することが必要です。

    栄養士と調理員が献立確定前に工程を確認できる場を設けると、現場で無理なく実行できる献立を作りやすくなります。

    4-2. 欠勤時の縮小献立と連絡手順を決めておく

    通常より一人少ない場合、二人少ない場合を想定し、安全に提供できる代替献立と作業分担を事前に決めます。

    その際、誰が変更を判断し、栄養士、保育士、保護者へどのように伝えるかも明確にします。

    代替品、アレルギー対応食、納品業者への連絡、記録方法まで決めておけば、当日に迷う時間を減らせます。

    縮小献立は通常業務を安易に簡単にするためではなく、緊急時にも安全な食事を提供するための備えです。

    4-3. 応援者が担当できる補助業務を標準化する

    系列園や法人本部から応援を受けられても、厨房ごとに器具の位置や手順が違えば、すぐには動けません。

    写真付きの配置図、当日の工程表、衛生上の注意点、入室時の準備を共通化すると、引き継ぎ時間を短縮できます。

    園内の別職種が補助する場合は、担当できる作業を限定します。保育士を安易に厨房へ配置するのではなく、保育室側での食数確認や食器回収を見直し、調理員が厨房内の作業へ集中できるようにする方法もあります。

    すぐにできる対策は、献立の工程調整、欠勤時の縮小献立、応援者が動ける手順の標準化です。安全確認やアレルギー対応を削るのではなく、それらを守るために周辺業務を簡素化し、現場が迷わず判断できる状態を整えましょう。

    5. 調理員を採用・定着させるための職場づくり

    業務を効率化しても、給食の品質を維持するには必要な人材を確保することが欠かせません。採用と定着を別々に考えず、応募前から入職後まで一貫した受け入れ体制を整えます。

    5-1. 求人票で仕事と支援体制を具体的に伝える

    求人票には、勤務時間や給与に加え、一日の食数、職員数、離乳食やアレルギー対応の有無、調理と補助の担当範囲を記載します。

    「未経験可」とする場合は、どのような研修や支援があるかも示します。

    保育園給食には、子どもの反応を身近に感じられる、日々の食事を通じて保育や食育に関われるという魅力もあります。

    面接時に厨房を見学してもらい、動線やチームの雰囲気まで確認してもらうことで、入職後の認識のずれを減らせます。

    5-2. 新人教育を一人の経験者に集中させない

    初日、1週間、1か月の到達目標を分け、検品や洗浄などの基本業務から担当範囲を広げます。

    確認表を使い、誰が教えても同じ内容になるようにすれば、教育の属人化を抑えられます。

    短期間で全業務を覚えさせるより、担当できる工程を確実に増やすほうが安全です。新人から出た質問や失敗を手順書へ反映すれば、次の採用時にも活用できます。

    5-3. 続けにくさの原因を定期的に改善する

    休憩が取れない、急な残業が多い、室温や作業台の高さが合わない、相談先が分からないなど、現場でなければ分からない離職要因があります。

    時間外業務、欠勤、ヒヤリハット、作業の遅れを定期的に確認し、勤務と設備の両面から改善します。

    調理員、栄養士、保育士が子どもの喫食状況を共有する機会も大切です。自分の調理が子どもたちの食事や成長につながっていると実感できる環境は、仕事への納得感を高めます。

    採用と定着には、仕事内容を正確に伝える求人、段階的な教育、働きにくさを改善する仕組みが必要です。人材を集めることだけに注力せず、新しく入った調理員が安心して仕事を覚え、経験者が無理なく支えられる職場を整えましょう。

    6. 外部サービスを活用して調理員の業務を減らす方法

    必要な人数を確保できない場合は、給食業務の一部を外部化する方法があります。

    重要なのは、サービスを導入すること自体ではなく、調理員が担当している仕事のうち何を減らせるかを明確にすることです。

    6-1. 全面委託と部分的な外部化を分けて考える

    調理員の採用、配置、教育、欠勤対応まで難しい場合は、調理業務全体の委託が選択肢になります。

    一方、調理する人材はいるものの、献立作成、必要量の計算、食材発注、買い出し、在庫管理に時間を取られている場合は、その部分だけを外部化する方法があります。

    保育所の調理業務を委託する際は、安全・衛生や栄養面の質を確保し、園と受託事業者の責任分担を明確にする必要があります。

    厚生労働省の「保育所における調理業務の委託について」でも、献立確認、検食、衛生管理、契約内容、代行保証などの考え方が示されています。

    6-2. 保育園向けミールキットで献立と食材準備を効率化する

    保育園向け給食サービス「はぴみる」では、専属の管理栄養士が作成した献立と、必要量に応じた食材を保育施設へ提供しています。

    公式サイトでは、10人分から必要な人数分を注文でき、昼食やおやつに加え、調味料、米、イベント用食材なども相談できると案内されています。

    献立と食材が連動して届くことで、献立作成、使用量の計算、複数の仕入れ先への発注、買い出し、在庫確認といった業務を減らせます。

    調理自体は園の厨房で行うため、直営給食を続けながら、調理員や栄養士の周辺業務を軽減できる点が特徴です。

    乳・卵・小麦を使用しない3大アレルゲンフリー献立や離乳食用レシピも用意されています。ただし、サービス利用後も、園児ごとの生活管理指導表の確認、調理・配膳時の誤食防止、緊急時対応は園で継続する必要があります。

    6-3. 導入前に削減時間と園に残る業務を確認する

    サービスを比較する際は、料金や献立例だけでなく、現在の業務時間がどれだけ変わるかを確認します。

    献立作成、発注、納品、下処理、調理、洗浄、記録のうち、導入後に減る作業と残る作業を書き出します。

    試食では、調理時間、残業、食材廃棄、子どもの食べ残し、現場の使いやすさを確認します。

    はぴみるでは必要人数分の無料試食が案内されているため、実際の工程に沿って調理し、何分の作業を削減できるかを測ると判断しやすくなります。

    外部サービスは、調理員の代わりを探すためだけのものではありません。献立作成、発注、買い出し、在庫管理などを減らし、限られた人材を調理・衛生管理・アレルギー対応へ集中させる方法として活用できます。導入前には、減る業務と園に残る業務を実際の時間で比較しましょう。

    7. 保育園給食の調理員不足は採用と業務改善の両面から対策しよう

    保育園給食の調理員不足は、求人を出すだけでは解決しにくい課題です。

    調理人材をめぐる採用競争に加え、限られた時間で多くの工程を行う仕事の重さ、離乳食やアレルギー対応に必要な専門性、少人数の厨房ならではの欠勤リスクが重なっています。

    まずは、給食業務を工程ごとに分け、作業時間、専門性、属人化を確認します。そのうえで、献立と作業工程の調整、緊急時の縮小献立、応援者が動ける手順書、補助業務の切り分けを進めます。

    採用では仕事内容を具体的に伝え、段階的な教育と定着支援を整えることが重要です。

    それでも調理員や栄養士の負担が大きい場合は、全面委託だけでなく、献立作成や食材準備を外部化する方法も検討できます。

    保育園が守りたい給食の品質や食育を明確にし、安全に必要な業務へ人材と時間を集中させることが、持続可能な給食運営につながります。

    保育園給食の献立作成や食材手配にかかる時間を見直したい方は、はぴみるの資料請求・無料試食をご活用ください。実際の食材とレシピを使い、現在の厨房でどの程度負担を軽減できるかを確認できます。

    調理員不足は、採用と業務改善を組み合わせ、安全と食育を守れる体制へ改善しましょう。